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2009年を薬で振り返る

こんにちは。
病態生理・薬物治療担当の川上(絢)です。

今年も残りわずかとなりました。
今回は2009年を医薬品で振り返ってみましょう。


今年は、新規作用機序の降圧薬と糖尿病治療薬が発売された年でした。
また覚えなければならない医薬品が一つ増えたということです…
しばらくは名前を覚えるのに必死です。




一つ目は、
アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス)

こちらは直接的レニン阻害剤(Direct Renin Inhibitor: DRI)です。

高血圧症を引き起こすRAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)の起点に位置する酵素であるレニンを直接的に阻害します。
RAA系は強力に血圧を上昇させる系で、アンギオテンシノーゲンというペプチドにレニンが作用することでスタートします。

アンギオテンシノーゲンは452個のアミノ酸からできているペプチドです。
これにレニンというはさみ(赤色)が作用すると短くなります。
短くなったペプチドがアンギオテンシンⅠ(ワン)です。
アンギオテンシンⅠにアンギオテンシン変換酵素(ACE:エース)と呼ばれるはさみ(青色)が作用するとさらに短くなり、アンギオテンシンⅡ(ツー)ができます。
このアンギオテンシンⅡが強力な血圧上昇作用を持っています。
今までに、アンギオテンシン変換酵素を阻害する薬剤はたくさん世に出てきましたが、
レニンを阻害する薬剤は初めてです。

新規作用機序の高血圧治療薬としては10余年ぶりに承認された薬剤です。







二つ目は
シタグリプチンリン酸塩水和物(商品名:ジャヌビア)

これはすごいです。
食事をすると、小腸からインクレチン(セクレチンのペプシン分解産物)というホルモンが分泌されます。
インクレチンは膵臓に作用して、インスリン分泌を促進してくれます。
ですが、残念ながらインクレチンは、数分以内にペプチルジルペプチダーゼ(DPP-4)という舌をかみそうな名前の酵素によって分解されてしまいます。

そこで、DPP-4を阻害し、インクレチンの作用を持続させるのがシタグリプチンです。

なぜ、インクレチンの作用に注目したかといいますと…
インクレチンは血糖値の高いときにしか
インスリン分泌を促進しない

からです。
すごいことです。
従来の経口糖尿病薬の問題点は、低血糖です。
シタグリプチンは、インクレチンの作用を持続させる薬剤ですから、
血糖値の高いときにしか、インスリン分泌を促進しません。
つまり、低血糖を起こしにくい薬剤なのです。




すごい医薬品がでてきました。
何だか人間の知恵のすごさに感動させられる医薬品です。



おそらく…来年の国家試験には出題されませんが、
(RAA系やインクレチンは基礎で出題されるかもしれません。)
来年薬剤師となって現場にでられる皆さんにはぜひ、知っておきたい医薬品です。
まさにこの2つの医薬品は2009年を代表する医薬品です。
高血圧、糖尿病治療薬の分野で新規作用機序の新薬が承認されたのは10年ぶり。
2009年は人間の知恵のすごさに感動させられる1年でした。



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